2型糖尿病

2型糖尿病とは

糖尿病の中でも一番発症数の多い疾患です。一般的に糖尿病として認知されているのはこの2型糖尿病で、生活習慣病の一種として広く知られています。
先天的(遺伝的)に糖尿病を発症しやすい体質に加えて、生活習慣の乱れなどの生活的要因が2型糖尿病の発症原因です。2型糖尿病が発症しやすい先天的な体質は、遺伝によりすい臓から分泌されるインスリンの量が減少しやすい体質のことを指します。そのため、2型糖尿病は生活環境による要因だけで起こることは考えにくく、発症している患者の多くが先天的に糖尿病になりやすい体質であると考えられています。

初期症状はある?
2型糖尿病の主な症状

初期症状・自覚症状がほとんど見られないのが2型糖尿病の特徴の一つです。稀に初期段階で症状が確認されますが、大半は軽度かつゆっくりと見られる場合が多いです。

のどが渇く、尿の量が増える

血中にブドウ糖が多くなると排尿量が増えます。これに伴って体に軽い脱水症状が起こり、のどの強い渇きを感じるようになるため、飲料を多量に摂取したくなります。

全身の倦怠感

インスリンが上手く機能せず、体がエネルギー不足の状態になるため、特に体を動かしたりしていないのに体の倦怠感を感じるようになったり、疲れやすい体質になります。

食べても体重が減る

インスリン不足によってエネルギーを上手く生成できなくなると、体は筋肉や脂肪を分解してエネルギーを補充するため、食事を摂っても体重の減少が見られるようになります。

2型糖尿病になりやすい人は?
原因とリスク

遺伝による体質や肥満、ストレスや生活習慣の悪化などが2型糖尿病の発症原因とされています。これらはインスリンの機能を低下させたり、分泌量を減らす要因であり、2型糖尿病発症の主な原因です。また、下記のような人は2型糖尿病の発症リスクが高まりますので注意が必要です。

  • 運動不足気味の生活を送っている
  • 血縁者に糖尿病を発症している人がいる
  • 肥満である
  • 年齢が40歳を超えている

寿命が10年短くなる?
糖尿病の合併症とは

糖尿病を発症すると糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害と呼ばれる特有の合併症のリスクが高くなります(三大合併症)。
これは糖尿病によって動脈硬化や血管の詰まりなどが引き起こされることが原因です。三大合併症については後述で詳しく説明します。1型糖尿病に比べて2型糖尿病のほうが合併症のリスクが高いとされているのが特徴です。また、オックスフォード大学の調査では糖尿病患者の男女の平均寿命は、健常者よりも10年短くなるという結果が出ています。調査結果では糖尿病患者の平均寿命は女性が72歳、男性が69歳とされていますが、糖尿病の早期発見と治療によって健常者の方と変わらない生活を送ることや、寿命を長く保つことができるという報告もあります。

糖尿病は初期症状・自覚症状が出にくいことからサイレント・キラーとも呼ばれており、検査や通院を怠ってしまうことの多い病気ですが、健康的な生活と長生きのためには早期発見と治療が大切です。合併症を発症しないよう、定期的に検査を受けて糖尿病を予防・治療しましょう。

糖尿病網膜症

糖尿病網膜症は、日本国内において成人が失明に至る原因第一位の疾患です。網膜の毛細血管を詰まらせることによって血行を抑制してしまうことで、黄斑部の浮腫・硝子体からの出血を引き起こします。症状が悪化してくると網膜剥離にまで発展して、視力を失うことになりますので注意が必要です。

糖尿病腎症

腎臓には体内の血液をろ過して、体外へ老廃物を尿として排出する機能があります。この腎臓の機能が上手く働かない状態になるのが糖尿病腎症です。腎臓の毛細血管が脆くなることで、糖尿病腎症が発症・進行していきます。初期には尿の中に少量のアルブミン(たんぱく)が見られ、最終的には腎不全に至る恐れもあります。

人工透析について

血液をろ過する機能が低下してしまった腎臓の代わりに、透析装置と呼ばれる機器を使用します。血管から血を透析装置に送ってろ過を行い、その後再び血を体に戻すことで老廃物や毒性のある物質を除去したり、血中に不足している物質を補うことで、腎臓の役割を代わりに担うことが可能です。人工透析は1回につき4~5時間程度、週に3回程度行うのが一般的です。

糖尿病神経障害

末梢神経(自律神経・運動神経・感覚神経など)の働きに問題を生じさせてしまう疾患です。
主な症状としては顔面神経麻痺・勃起不全・乏汗・多汗・筋力低下・瞳孔異常・頻脈・徐脈・便秘・下痢・手足の痺れ・味覚障害などが挙げられます。身体の感覚が鈍化することで怪我や火傷などの発見が遅れてしまうこともあります。

その他で気を付けるべき
合併症

糖尿病を発症していると動脈硬化のリスクが高まるため、前述した細小血管障害と共に大血管傷害にも注意が必要です。

大血管障害
  • 心筋梗塞や狭心症
  • 閉塞性動脈硬化症(足の切断につながる)
  • 脳梗塞
  • 脳卒中
  • 動脈硬化
  • 高血圧
その他感染症など
  • 歯周病
  • 気管支炎
  • 肺炎
  • 水虫(白癬)
  • 膀胱炎、尿道感染症、腎盂炎
  • 水泡など

2型糖尿病の検査

  • ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)
  • インスリンの数値
  • 直近2ヶ月の血糖状態を調べる指標(HbA1c)
  • 朝食を抜いた空腹の際の血糖値
  • 食後(食事を行ってから2時間)の血糖値

血液検査・尿検査・問診(家族歴や病歴をヒアリング)などを行い、糖尿病を診断します。血液検査にて慢性的な高血糖状態が確認されれば、糖尿病となります。また、異常が見られた際は、別日に再検査を受けて頂くこともあります。検査の10時間前からは食事を控え、正常な数値を測定できるようにしましょう。ただし、お水は問題ありません。

糖尿病合併症の検査

  • DPNチェッカー
  • 動脈硬化検査・血管年齢検査(ABI・CAVI)
  • 頸動脈エコー
  • 眼底検査
  • 尿中アルブミン検査・尿蛋白検査(尿検査)

高血糖が慢性的になると腎症・網膜症・神経障害などの合併症を引き起こしやすくなるため、糖尿病は早期の発見と治療が重要になります。その他、動脈硬化が進行することで心筋梗塞や脳梗塞などの重篤な疾患に至る恐れもあります。血糖値を正しくコントロールすることでこのような合併症の一部は予防可能です。

当院では滋賀県では数少ない
DPNチェッカーを導入

DPN(糖尿病性末梢神経障害)チェッカーは糖尿病神経障害の程度を調べられる神経伝導検査装置です。くるぶし辺りに機器を密着させて操作を行い、その後10~15秒程度で測定は終了となります。測定後は検査結果の数値が表示され、その詳細も確認可能です。検査データは保存でき、DPNの早期発見の他にも治療の経過観察といった部分で役に立ちます。

糖尿病の診断基準

血糖値の数値によって正常型・境界型・糖尿病型の3種類に分けられます。境界型は血糖値が正常な数値に比べて高く、将来的に糖尿病になる危険性がある状態となります。

正常型

HbA1cの正常な数値:4~5.5%
空腹時の正常な血糖値:100mg/dl以下

境界型

HbA1cの数値:5.6~6.4%
空腹時の血糖値:100~125mg/dl
OGTT検査120分後の血糖値:140~199mg/dl

糖尿病型

  1. HbA1cの数値:6.5%以上
  2. 空腹時の血糖値:126mg/dl以上
  3. OGTT検査120分後の血糖値:200mg/dl以上
  4. 常時の血糖値が200mg/dl以上・糖尿病の症状がある

上記の基準の内、2~4のいずれかの数値に加えて1も当てはまる場合は糖尿病型と診断されます。
反対に上記の基準の内で1つしか当てはまるものがない時は、基本的に再検査を行います。
また、初回の糖尿病検査時にHbA1cの検査を行った場合は、再検査時に追加で他の検査方法も行うのが一般的です。

1型糖尿病と2型糖尿病の判定

糖尿病の分類を判断する際に1型糖尿病か2型糖尿病かを特定しづらい場合は、以下の要因を参考にして判断を行います。

  • 2型糖尿病と判断し治療を行った後、血糖値の改善が見られない
  • 体重が急激に落ちたり、尿の量・回数が増える
  • セリアック病などの自己免疫疾患・甲状腺機能亢進症・甲状腺機能低下症の方が血縁者にいる。

上記の要因が見られる場合は、1型糖尿病として判断される可能性が高くなります。

2型糖尿病の治療

主に運動療法と食事療法を中心に行い、生活習慣を正していくのが一般的な2型糖尿病の治療方法となります。運動療法と食事療法で疾患の改善が見られない場合は薬物療法を行うこともあります。ただし、運動療法と食事療法を続けながら並行して薬物療法を行うのが重要です。

食事療法

食事療法食事の内容や量、食べる順番、食べ方などを工夫することで糖尿病の改善を試みる方法です。以下の内容を意識して行います。

  • 早食いを避け、よく噛むこと・ゆっくりと食事することを意識することでインスリン分泌を促します。
  • 急な血糖値の上昇を避けるために、野菜・たんぱく質・脂質・糖質の順番で食事を摂ります。
  • ビタミン、ミネラル、脂質、たんぱく質、炭水化物を満遍なく摂取します。
  • 間食や暴飲暴食を避けるようにしましょう。

運動療法

運動療法激しい運動は行わず、気持ちよく続けられる運動を日常生活に取り入れ、インスリン分泌と機能の向上を促します。水泳やジョギング、ウォーキングなどの有酸素運動がお勧めです。また、運動により筋肉量が増加することでもインスリンの機能向上が期待できます。

薬物療法(内服・GLP-1受容体作動薬・インスリン注射)

薬物療法(内服・GLP-1受容体作動薬・インスリン注射)インスリン注射、GLP-1受容体作動薬の内服、注射、血糖値を適正に維持するお薬の内服によって血糖コントロールを行います。

GLP-1について
詳しくはこちら

当院の痛くない血糖管理「FreeStyleリブレ」

当院の痛くない血糖管理「FreeStyleリブレ」

Free Styleリブレはグルコース測定器であり、指に針を刺して計測する必要がありません。センサーを上腕に取り付けるだけで測定ができるため、測定の際に痛みを伴いません。実際に測定されているのは皮膚の組織間液のブドウ糖濃度ですが、その数値を血糖値に換算しています。また、他の測定を行う必要はありません。測定後は画面にグラフで直近数時間の血糖値が表示される他、測定時の血糖値が表示されますので、現時点での血糖値の数値が上昇あるいは下降しているのかを把握でき、食事をとるべきか否かなどを判断できます。インスリン治療を1日1回以上行っている場合は保険が適応できます。

当院では糖尿病看護認定看護師の資格をもつ看護師が在籍

糖尿病を患っていると、感覚が鈍感になる傾向があります。痛みに対しても鈍感になってしまうため、傷がついても放置してしまいがちです。糖尿病患者の中には足の傷口から細菌などが感染することで足壊疽を引き起こし、足を切断しなければならない状況になる恐れがあります。足を切断するまでに至らないように、毎日素足のチェックを行うようにしましょう。チェックする際は水虫やタコがないか、足に傷や火傷ができていないか、爪の変形が起きていないかなどを確認します。湯たんぽやあんかといった製品を使用すると、熱に鈍感になっているせいで火傷を負う可能性がありますので、使用は控えましょう。また、靴のサイズや爪の切り方も注意しましょう。
当院では、足潰瘍や足壊疽を起こさないためにフットケア室を用意してサポートを行っています。担当するのは専門知識を有する糖尿病看護認定看護師なのでご安心ください。糖尿病を患っていて、足に違和感がある方はお気軽にご相談ください。

フットケアについて
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