傷が治りにくい

糖尿病になると
傷が治りにくいのはなぜ?

糖尿病によって傷が治りにくくなるのには、下記の原因が考えられます。

循環障害

循環障害

糖尿病で血糖値の高い状態が継続していると、血管を傷付けて血行を阻害するリスクがあります。血流が悪くなってしまうと栄養素や酸素の巡りが悪くなり、傷の回復が遅れてしまう可能性があります。

神経障害

手足や指の感覚を鈍らせてしまうのが糖尿病神経障害です。感覚が鈍ってしまうことで火傷や傷など、体がダメージを受けていることに気付きにくくなります。そのため、傷の発見が遅れて適切な処置を行えず、傷口からのウイルス感染や傷の悪化を招いてしまう危険があります。

免疫機能の低下

血糖の状態が250ng/dl以上の高血糖である場合、免疫機能を低下させる恐れがあります。健康な状態の免疫は、傷口を回復させる他、細菌やウイルスの感染を未然に防ぐなどの働きがありますが、高血糖によって免疫機能が低下していると、病原体から感染してしまったり、傷口の治癒が遅れるなどの症状が現れます。

糖尿病を患っていると上記の理由から、傷が治りにくい状態になる可能性は高いです。損傷した部分から感染症などを防ぐためには、適切なケアを行う必要があります。血糖値コントロール、感染予防の対策、フットケアなどを行いながら、糖尿病の治療を行っていくことが大切です。

糖尿病で傷が治りにくい人が
気を付けるべき注意点

血糖コントロールを徹底する

血糖コントロールを徹底する

前述したように血糖値が高い状態が続くと、血管と免疫機能を阻害する可能性が高まります。血管の機能が弱まると血行が悪くなり、傷を治すために必要な栄養素や酸素が上手く運ばれず、傷の治りにくさに繋がります。また、高血糖には炎症の反応を促してしまう作用があるため、傷からのウイルス感染や傷の癒着を引き起こしてしまう危険性があります。血糖値をしっかりと管理して通常値へと安定させることができれば、免疫機能を低下させず、血管を健康的な状態に保つことが可能です。

フットケアを行う

フットケアを行う

糖尿病を患っている方にとって足のケアは非常に重要です。糖尿病によって足の感覚が鈍ってしまうと、傷ができても気付かずに、そのままウイルスの感染や傷の悪化を引き起こすこともあるため注意が必要です。フットケア外来などを利用することで適切なフットケアを受けることができる他、セルフケアの正しい方法なども指導してもらえます。感染症の防止のためにはとにかく傷を作らないことが大切であるため、以下の事柄には注意するようにしましょう。

  • 深爪しないように爪を切る
  • 足に合った靴を選ぶ
  • 室内であっても裸足では行動しない

フットケアについて
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火傷に注意する

火傷による傷は、ウイルスや細菌に感染して傷口の悪化に繋がるため要注意です。下記は糖尿病患者が火傷を負わないために注意するべき点になります。

火傷に注意する
  • ヒーターやストーブなどの機器に足を不用意に近づけない。
  • 直接カイロを皮膚に密着させたり、貼ったりしない。
  • 湯船につかる際は、必ず手で温度を確認してから入る。
  • 電気毛布を使用して睡眠を取る場合は1時間程度前からスイッチを入れて布団を温め、就寝する際には電源を切っておく。
  • あんかや湯たんぽも電気毛布と同様に1時間程度前に布団へ入れて温めた後、就寝時には布団から出しておく。

万が一、火傷や傷を負ってしまってもすぐに分かるように、手足に傷が無いかを毎日確認したり、靴下を薄手のものに統一するなどの対応を行いましょう。また、足裏は普段の生活で目に留まりにくく、傷も負いやすい個所であるため、一日一回程度は確認する習慣を付けるようにしましょう。

糖尿病以外で傷が治りにくい要因

糖尿病以外でも傷が治りにくくなる色々な要因があります。下記ではその代表的な例をご紹介しています。

ストレス

日常的にストレスを抱え込んでいると、糖質コルチコイドと呼ばれるホルモンが活発化し、免疫機能を低下させて傷の回復を遅延させるリスクがあります。
これに加えてストレスによる暴飲暴食などで生活習慣が乱れ、高血糖状態を引き起こしてしまうことも多いため、できる限りストレスを溜めないように、運動やリラクゼーションなどでストレスの発散を上手く行うことが大切です。

肝疾患

肝疾患は肝臓の機能を低下させる病気であり、血液凝固因子を減少させてしまうため、傷口の修復に時間を要するようになります。
傷の治りが遅いと感じる場合、血液凝固因子が減少していて血液が固まらずに出血が続いている可能性があります。

栄養不良

ビタミンA・たんぱく質・鉄分は傷を治す上で重要となる栄養素です。
これらの栄養素が体に不足している状態だと、傷の治りが遅くなる可能性があります。
さらに水分が体に不足している状態でも傷口が乾燥して治りが遅くなることもあるため、水分を積極的に摂るようにしましょう。

高齢化

高齢になると細胞の修復機能や再生速度が遅くなるため、傷口の回復が遅くなる傾向にあります。

薬物の副作用

持病や疾患を薬物療法などで治療している場合、使用しているお薬の副作用によって傷が治りにくくなることがあります。
抗凝固薬や免疫抑制薬などのお薬は傷の治癒を遅らせる代表的なものです。

怪我をして化膿した時の治療と
対処法

皮膚科に紹介の上、以下のような処置を施されます。

  • 傷口に感染が見られたら抗菌薬を使用する
  • 浸潤が起きている際に傷口を保護する(ドレッシング)
  • 死滅した組織などを削る(デブリドマン)

傷の箇所が足の場合は、なるべく体重をかけないようにしましょう。
怪我が悪化して症状が進行してしまうと潰瘍となり、さらに進行することで筋肉や皮膚の組織が壊死して、脚の切断などを余儀なくされることもあります。
最悪の事態を避けるためにも、予防や迅速な治療を心掛けましょう。

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